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日々の泡をぷくぷくぷく・・・


by harumerci

norwegian wood

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観てきました。

happy-sadちゃんのアドバイスもあり、原作のことは忘れて観たつもりでした。それに、原作を最後に読んだのは6年も前なので、そのときの感想なんて忘れてると思ってたんです。
でも意外と覚えてるもんですね。

確か、原作を読んだ後もこんな感じだったんです。ずばり、何だか釈然としない。
最後までワタナベに共感できないまま、フッと終わってしまうんです。

斜に構えすぎなのかもしれないけど、ワタナベよ、しっかりしろ!と、つい叱りつけたくなってしまった記憶があり、映画を観た後も同じようなモヤモヤが残りました。

求められるまま、思いの向くままに愛を注いできて、それを失い、さあ、自分の足で歩こうとしたとき、ふと思い至るのは「自分は何者なのか」という感覚。ワタナベの言葉を借りれば「ボクはどこにいるのだろう」ということになるけど、キミはそんなこと問うている場合ではないのでは?とツッコミたくなってしまうのは情緒がなさすぎるかしら…。
このモラトリアム感が「ノルウェイの森」という作品なのかなぁ。ただただ愛し、ただただ悲しむ。「ゲンジツ」を意識しながらも、それは知らないふりをして関係性を築いていく。ワタナベに共感しきれない私は、「ゲンジツ」に浸食されてしまっているのかしら、と自問自答してしまいます。
ああ、あのモヤモヤは自責の念だったのかなぁ…。

もう一度、原作を読んで考えてみたくなりました。

と、ここまで言っておいて映画がよくなかったかといえば、そうではありません。
役者さんはみなさん素晴らしく、村上ワールドの匂いがしてくるようでした。
心情の移り変わりを風景で表していて、美しい映画です。そして、描かれている時代とは関係なく、ノスタルジーを感じます。あら、これって私がまだ純粋ってことかしら…。

是非、それぞれの「ノルウェイの森」を感じて下さい。
by harumerci | 2010-12-14 22:58 | book・cinema