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日々の泡をぷくぷくぷく・・・


by harumerci

武士道セブンティーン

以前「ストロベリーナイト」の記事で触れた誉田哲也さん。本作も誉田さんの作品です。
セブンティーンとくれば・・・もちろん前作は「武士道シックスティーン」そして続きの「武士道エイティーン」も既刊です。(ただし「エイティーン」は文庫になっていないため、未読です。)

さて、本作は青春を剣道に捧げた女子高生2人が主人公のお話。何を隠そう、このワタクシも中学・高校・大学と剣道に励んできました。今でこそ、やれフラだタヒチアンだ、北欧食器が素敵だと言っていますが、5年ぐらい前までは剣道臭をさせながら竹刀を振っていたんです。

磯山香織と甲本早苗、剣風(剣道のスタイルのこと)も性格も見た目も正反対の二人が、剣道を通じ互いを理解し、好敵手として剣道に打ち込む姿がそれぞれの視点から描かれます。

前作のシックスティーンでは、どちらかというと香織が早苗に出会って成長するという展開。今作のセブンティーンでは、早苗が剣道に迷い、香織や周りの人のおかげでまた少し成長し剣道と向き合うことができるようになる、という展開でした。

この作品を読むと、もっと昔にこの作品に出会っていたら、私の剣道人生も違ってきていたかもしれないなぁと思わずにいられません。香織や早苗のように剣道に近づこうと努力することができたら、今でも細々と続けていたかもしれません。こんなこと、今言っても始まらないんだけど、あの頃は漠然と剣道をやっていて、このはったりが通用するのはここまでかも・・・と思って竹刀を置いてしまったんだよな。もちろん剣道はそういうことじゃない、というのもわかってはいたけど、ダメな自分と向き合うのに疲れてしまったというか・・・。まさかここでこんな話をするとは夢にも思ってなかったですが、この作品はそんな私の中の郷愁を誘う部分がたくさんあるんです。

そして、本作セブンティーンでは、剣道が武道たるのは何故か、スポーツと武道はどう違うか、ということをすんなりと納得させてくれます。ごくごくマイナーな議論ですが、剣道をオリンピック競技にするか、という議論があります。私は絶対反対です。柔道のようにスポーツ化してほしくないですから。スポーツ化のなにがいけないの?と思った方、是非本作をお読みください。

そしてこれも余談ですが、最近私は小・中学生のお子さんがいる方にはいつも「お子さんに剣道やらせたらどうですか」と言ってまわってます。こんなにいい精神修養のできる習い事はほかにありませんもの。といいつつ、自分の子どもだったら?と聞かれると、女の子だったら肩がごつくなっちゃうからやらせないかも・・・と答えてしまいそうですが(笑)

私自身、剣道はやめてしまったし、再開する勇気はまだないけど、今でも剣道は大好きです。むしろ剣道をやっていたときより好きになってるかもしれないです。選手の名前なんかも、夫くんに教わっていたらだいぶ詳しくなりました。この作品を通して、剣道の良さをわかってくれる人が増えたらいいなぁと、ついつい関係者のような感想を持ってしまいます。何か若いころに打ち込んでいたものがあった人なら必ず共感できるし、とってもさわやかなお話なので、青春小説としても楽しめます。

私は、この武士道シリーズを通じてじわじわと、さらに剣道が浸透していくことを願わずにはいられません。
by harumerci | 2011-03-09 00:23 | book・cinema